SHOCKMANーBASEの作るシン・リボン織りについての考察
リボン織りとは!?
「テープ状の糸=リボン」をタテ・ヨコに用いて織られたテキスタイルをリボン織りと言います。
リボン自体は、織られるor編まれることで作られていて、一般的には資材用として流通しています。
したがって、種類は多種に渡ります。(手芸売り場なのでもよく見かける通り)
創作工房糸あそびでは、4mm幅のシルク100%リボンを自社生産していて、それを用いてテキスタイルを創っています。
用途としては、シルクの軽さ光沢感の利点からアパレル・ストールがメインです。
リボンの用途は一般的に資材でのため、シルク100%の高付加なモノはあまり流通していませんでした。
2022年、国内でのシルクリボン生産がなくなったタイミングで、自社生産に切り替えました。
したがって現在、シルクリボンを用いたテキスタイルは、国内でここだけとなりました。
(世界的にみても、タテヨコ自在にリボンを用いたテキスタイルはほぼないと思われます。)
リボン織りに興味ある方は、このリンクからチェック下さい。
リボン織り最大の利点
最大の利点は、小さな平面性にあると考えます。
そこには糸の集合では生み出せない面が存在しています。
ここが一般的なテキスタイルとは大きく異なっている点です。
故に、絣染めなどでその利点は活かされます。
染め際のボカシを面で受けるために、糸とは違いより繊細な表現が生まれるということです。
創作工房糸あそびでは、ボカシを強調するために、「漬け染め」という手法の絣を作ります。
この染め方は再現性が低く難易度が高いために、一般的にはほとんど用いられていません。
しかし、リボンの生み出す小さい面を活かすという観点から、当工房ではこのやり方を続けているのです。
あいまいな”間”を表現する
小さい面であるリボンを絣に染めて、再度織り上げていく。
大きい面になった時のインパクトの根源は、小さい面の集合にあるということです。
染めと染めの間、このボカシが表現できているからこその魅力があるのだと思います。
日本人は昔から、”あいまいさ”というものが好きで、それは様々な文化の中にも現れています。
着物などのテキスタイルを見ると、細かい糸使いによるボカシへの挑戦というのがよくわかるように。
リボン織りのテキスタイルは、糸使いとは違い”動き”を面で捉えてるところが特徴的です。
染めと染めの間の滲み合う様が、そこにはあるのです。
小さい面だけれども、その背景にはダイナミズムな動きがある、
そういった集合が、リボン織りのテキスタイルだと僕は捉えています。
興味ある方は、下記ブログチェック下さい。
シン・リボン
シン・リボン開発
リボン自体を自分で作るようになったことから、新しいリボンの開発を進めました。
新しい挑戦は、「シルク×金属」のリボンです。
面白いと思ったのは、それが「有機物×無機物」という異種が組み合わさることにあります。
試行錯誤の末、
タテ・シルク、ヨコ・金属(真鍮)でできたメタルリボンを開発するに至りました。
詳しくは、下記チェック
シン・リボンの可能性
この融合というものは、より加速される現実として、非常に重要な二項対立であるように思います。
僕たちは、「この間にあるゆらぎをどのように受け止めていくか?」
その問いを表現する上で、この開発は有意義であると言えます。
これを用いて、再度タテ・シルクリボン、ヨコ・金属リボンのテキスタイルを織り上げました。
ここで生まれた表現は、”滲み”というものです。
今まで業界では、「先染め」と呼ばれる糸を先に染めたものを織る、
もしくは、「後染め」と呼ばれる織り上げたテキスタイルを染める、という二つの手法で染めを用いてきました。
僕はそこに新しい手法、織ったものを滲ませることで今までにない表現を提示します。
具体的には、
織り上げたリボンの真鍮を反応させて緑青をシルクリボンに滲ませるということです。
金属のサビとそれを受けるシルクの染色性の良さとが相まって、新しい輝きが生まれることをメタ認識する。
つまるところ、そこで生じた自分とテキスタイルの間、それがシン・リボンの可能性そのものなのであります。
織り上げた作品は下記チェック下さい。