【シルク×真鍮のリボンを使った異次元のテキスタイル】を制作しています。
今回は、制作の材料として扱っている真鍮について少し考察してみようと思います。
真鍮の輝きの奥にあるモノ、そこに意識を繋げてみたならば、
テキスタイルに滲み出た世界、それが豊かな動きであることを知ることになるでしょう。
祈りと真鍮
真鍮というのは、銅に亜鉛を20%以上含んだ合金です。
加工性や耐食性の点から、昔から世界では重宝されてきました。
日本で一番身近にあるもので言えば、「5円玉」があります。
今はもうスマホやカードで決済するので、小銭をジャラジャラ持ち歩くことも少なくなりました。
むしろ、小銭も紙幣も邪魔な存在になりつつあります。
それでも神社に行けば、5円玉を握りしめる自分がいる。
現世利益主義的な日本人は倍ベットする感覚で、願いに応じたお金を賽銭箱に投げ込むけれど、
やっぱり5円玉は不可欠なものであった。
そこには、あの燻んでもなお黄金を輝かせる真鍮の輝きがあったからではないかと思います。
はるか昔、黄金に輝く青銅が祈りの対象となったように。
僕たちがガラス越しに見る青銅の美術品は、どれも燻んだ青色で、これは緑青が滲み出ているものである。
当時の人々は、黄金色や磨かれてピカピカに輝くものを見ていた。
その世界の色を想像すると、太陽が照らすことへの純粋なる喜びそのものを象徴するようである。
モノと意識の間が滲み合っていくような感覚が、あったのかもしれません。
現代はその間がよりくっきりと区分され、モノはモノとしての認識が一般的です。
それは同時に、色に対する意識の強まりを意味しているようにも思います。
僕が握りしめていた五円玉は質量があって冷たさがあったけれども、
それ以上に思いがリンクしやすい媒体としての存在を有していた。
僕が今回の制作で用いている真鍮は、意識というもの、それを意図している。
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