こんにちは、SHOCKMANです。
京都北部にある創作工房糸あそびにて、テキスタイルを作っている者です。
現在、”残りモノを福にする”というテーマのもと残糸を活用した制作をゴソゴソやっとります。
仕事終わりに勝手に一人でやっていることなので、「一人残糸プロジェクト」とでも言いましょうか。
今回は、その整経へんを書いていますので、良かったら目を通してみて下さい。
残糸を活用するのは、まずデザイナーではなく職人だろ!
僕は整経というタテ糸を作る工程の仕事もしているんですが、終わった後には必ず”残糸”が出てきます
僕はそれを全部巻き取って、自分のモノ作りに活かしたりしています。
巻き取る作業が面倒だということと、使っても繋ぎ目だらけになるということ、という理由から処分されるというのが一般的な現場です。
僕の場合、「もったいない精神が働くので、意地でも活かしてやろう!」という気持ちでやってます。
よくそういった残糸に着目してモノ作りをするデザイナーなどを見かけることがありますが。
「テキスタイルを作る過程で生まれる残であれば、まず作り手が責任持って何かに活用すべきだ!」というのが僕の考えです。
整経するときは上の写真のように糸を立てていくんですが、これが200個ぐらいある時なんかは、巻き取る作業もかな〜り地味になってきます。
ワインダーと言う糸を巻き取る機械にかけて、最低200回結んで巻いてを繰り返していくわけです。
単純作業なのでただただしんどいんですけど、押忍ですね。
作り手として、人がやらないことをやるってのは大事なことだと思ってます。
「残りモノを福にする」というテーマを掲げて
今回は残糸を活用してテキスタイルを作って、最終”服にする”というダブルミーニングなテーマにしました。
僕のいる与謝野町は丹後ちりめんの一台産地でもあります。
僕は普段反物は作ってませんけど、せっかくなので着物にして発表しようかと思ってます。
余力があれば、パターン引いて洋服も作りたいけど・・・(やる気ねぇ)
残りモノには福があるんじゃなくて、残りモノを福にするんだ!という気持ちが大事なんですよ。
カンタンに言えばそういうコンセプトです。
職人は、ここまで情熱をカタチにできるんだぞ!ってところを実践するのだ。
兎に角、まずやるべきは
残糸を使って僕にしかできないテキスタイルを創る!
デザイナーではなく、作り手だからできる表現の限界値を目指すのだ〜。
チグハグなタテ|残糸を最大限活かす
創作工房糸あそびでは、シルク以外にも綿・麻・ウール・化学繊維、なんでも扱います。
タテにも色んな糸を使うので、小さいコーン(残糸)は多くあるんです。
今回はこれをぜーんぶ巻き取って、タテ糸にしようという試みです。
小残糸コーナーに入れたバラバラの糸をワインダーで巻き取っていきます。
材質も糸番手もバラバラ。
織る時のことも考えて、ある程度タテになりそうなものをチョイスしますが。
また繋ぐときの結び目も、違う糸質のもの同士だと解けやすくなるので注意しつつです。
こういった作業も、キチンとやってないと織るとき地獄をみます。笑
結構ジミーな作業の連続ですが、こんな感じでコーンアップできました!
なんかもう、この時点ですごいぞ〜
真上からみると、目が回る〜。
糸をかき集めてくるのも大変で、巻き取るのも一苦労です。
仕事終わりに、少しずつ巻き取って進めました。
必要なタテ糸量を計算して、これだけ巻きとり完了!
こんなん整経できるのか?という不安もあるけれども、それ以上にどんなタテができるのか楽しみだ。
チグハグな整経|世界で僕だけしかできないに違いない
部分整経をしていくので、巻き上げたコーンを小割りしていきます。
ここでさらにシャッフルされるので、どんなタテになるかさらにわからなくな〜る。
小割りが終われば、横出し台にセットしていきます。
糸質が異なっているし、結び目も多いしで、テンションかけないと糸が絡んで絡んで整経なんてできたもんじゃない。
なので、各糸道にテンションかけるように調整をしていきます。
そこから結び目を前に引っ張ってくる作業が大変でしたけど、なんとか整経できる状態まで持って来れました。汗
いざ、整経だ!
テンションかけてるとはいえ、絡みやすい状態なのでゆっく〜り整経をする。
たま〜に糸道で引っ掛かりキレたりしたけど、思ったよりもスムーズか、な。
部分整経の場合、整経長に合わせてドラムに巻き取って、ズラして巻き取ってを繰り返し、タテ本数分巻いてきます。
今回は、50m巻きを43回ほど繰り返していく作業となります。
神経を使うジミーな作業ですが、なんとかフィニッシュ!
一見すると縞タテのように見えるけど、ランダムなんすよ。
途中で糸も切り替わっているし、このスゴみヤバみです〜。
狙って出せるような色合いでもないし、再現性はないけれど引き込まれる魅力ありますなぁ。
整経は一旦ドラムに巻き付けてから、その後ビームに巻き返しを行なっていきます。
これが織機にかかることでタテ糸となるので、ここまでしっかりやれての整経となります。
糸が絡みやすいので、ここもゆっくり目に巻き返しを行なっていきます。
タテ糸がダメだとその後の織りに全ての皺寄せがいくので、最後まで気が抜けない作業工程です。
だいたいの糸を巻き取れたので、オッケイでしょう!
一人残糸プロジェクト1|まとめ
整経に至までかなり準備に労力を使いましたが、なんとかフィニッシュ!できました。
タテに材質・番手違いのチグハグな糸を使って、どんなテキスタイルになるか全く想像できていません。
だから、面白いっ!
僕ら作り手は、現場で常に新しいモノづくりを目指して試行錯誤しながらやっています。
(やっていない人たちも多数いることを知ってますが。)
今やっていることに再現性はないのかもしれないけれども、職人のモノづくりだからできることを知ってもらいたいなぁと思っています。
なので、
次元が違うんだぞ!ってことを知らしめるぐらいの気合でやってるプロジェクトなのです。
新しいモノが生まれるまでに、地味地道なことにどれだけ全力を注げるか!
そこに執着するから創り出せるんだ、そこに本当のクリエイティブがあるんだ!
ということを知ってもらいたいので、モノづくりの工程含めなるべく書くようにしています。
次の工程は、データ作りです。
これから仕事の合間にやっていこうと思うので、またできたら書いていきます。
続苦