こんにちは、SHOCKMANです。
”残りモノをフクにする”というテーマで、仕事終わりに制作に励んでいる勝手なシリーズ
今回は、FUCKバージョンの布創りまでを書いていきます。
現場のテキスタイル、気になるマニアックな方はぜひチェックしてください。
(前回の記事はこちら)
ひとり残糸プロジェクト|テキスタイルデザインは問題解決に表現がある
頭の中でデザインを組み立ててデータ化するのだけれど、
結局、テキスタイルは織ってみないとわからない!
そこに尽きます。
なので、織り準備ができたらすぐさま試行作Go!
少し織ってみて、なかなか柄が出ないので苦戦する。
タテ糸がクレイジーストライプよりもクレイジーな多色なので、出にくいことは想定済みさ。
柄修正をしては織っての繰り返し。
それと懸念すべきは、タテ糸の緩み
多種多様な糸を使っているので、織り進めていくうちに一部が緩まないよう設計するのがポイント。
タテ糸の結び目のケバが邪魔をして、タテもよくキレる。涙
繋ぎまくって作ったタテなので、こういうことも致し方なし。
おまけにヨコ糸も大変で。
こだわりで野蚕糸(ワイルドシルク)を使っているので、糸にがさつきがあり端が引けちゃう問題
シャトルの調整を繰り返し、この問題は大体クリア。
なかなかこの糸の扱いも難しく、色々工夫をして答えを探っていく感じ。
デザイン・織りの問題を並行して解決に導くのが現場のデザイン
だからこそ、マネできない完全オリジナルが作り出せるのだ。
なんとなく、では到底ダメ。
細部まで徹底的に落とし込んでいった先に、テキスタイルの魅力はあるのです。
ひとり残糸プロジェクト|FUCKバージョン決定
何回も織りデータを作り直し、ようやく納得!
いろんな色糸試してみたけれど、やっぱりタテ多色につきブラックで締めるのが一番!
ブラックでも、光沢の違う2色を使って独特な輝きの表現を目指す。
ジャカードの負担を考えて、裏織りにしているので文字は反転している。
タテ糸を多く上げるということは、数十キロ(織機による)を一気に上げることになるので、機械的に負担が大きくなるわけです。
柄を反転して織る方が負担が小さい場合があり、今回はそういう理由でこっちになってます。
こっちはこっちで、文字がハッキリわからない分いいんだけれども。
ひとり残糸プロジェクト|SDGsの裏側で、できることを突き詰める
地道に織り進めて、表側が見えてきました。
FUCK!
結び目が汚いとか、
少ない残糸は使い道がないとか、
そんな織りの固定概念にFUCK!
昨今この業界でもSDGsの流れは顕著になっている。
企業規模でなければ継続可能な生産消費形態の確保を実現していくことは難しい話。
だけれども、
現場サイドを見てみると、サスティナブルな生地開発の一方で
大量の残糸が、結局のところ廃棄という道を辿っている。
残糸を扱うというのは、余計な問題を生む要因となるから
廃棄というのが手っ取り早いというのが現状で、
僕はそこに対して問題提起をしたいという思いから、今回の布作りに挑んでいる。
ひとりでやることは、どこまでいっても”よがり”であるだろうけど、
そこを突き詰めていくことが、SDGs以上に大事な考えに至ると確信している。
残糸だけでは福にはならない。
それ操ってこそのテキスタイルデザイン!
そういう思いで、苦難に突入した今回の織り
再現性はないので量産という話ではないが、
布職人なので言いたいことは布にぶち込む。
ひとり残糸プロジェクト|誰もやっていないテキスタイルの誕生
加工に出して、戻ってきやした
絣のようにも見える繊細なタッチがとてもいい
ぱっと見、過激文字の羅列ではない感じもグッド!
幾何学柄っぽくした狙い通りだ
裏面は、
ブラックで引き締まった感じでグッド
タテ糸のどこにもない雰囲気を出すならタテだけど、どっちもいい。
ここまでの準備はかなり大変だったけど、
想いを一枚の布に凝縮するというのは悪くない。
ペラペラだけど、超ヘビーなテキスタイル(FUCKバージョン)ここに完成!
次は、福バージョンだっ!