「次世代型」職人という生き方の選択

thinking

職人ではなく、「次世代型」職人を目指している。

僕は30歳からテキスタイルの世界に入った。

キャリアもあったし人生を自由に選べる立場にあった時に、険しく怪しい道に進んだ。

現在5年目半ば過ぎた辺り、

自分が目指す方向に間違いはなかったなぁと思うには、まだまだ先は長い。

だけれども、確信できるだけの要素は見えてきた、そんな感じだ。

今回は、僕が「職人」ではなく「次世代型職人」と区別している理由について書いています。

古き良き時代の職人像はなくなりつつある

昔の職人の一般的イメージと言えば、

何かの分野のプロフェッショナルみたいな、黙々と仕事に打ち込む感じが多いかと思う。

器用で、モノを作るのが好きなのか、

仕事の合間にもいろんなものを創り、それが文化の中に取り入れられる時代

職人には知恵と技があった。

モノづくり大国ニッポンなんて言われていた時は、キレキレ職人がたくさんいたんだろうと思う。

だけれども、それはもう絶滅危惧種

古き良き時代の職人というのは稀有な存在となっているのが現状である。

織物業界の悲惨な現実

繊維産業は、グローバル化も相まってず〜っと右肩下がり

この要因であるのは景気が悪いから、だけではない。

大きな要因の一つ

分業体制による分断が生み出していると僕は考える。

何をしなくても量があった時代は、効率化に特化すれば良いので分業体制になるのは当然

問題はこの先のギアチェンジが全くできていない点

次第に量が見込めなくなって、先行きも右肩下がりだと自明だったのに、体制に変化はなかった。

そこもさることながら、実は一番の問題であったもの

それは、人材育成に力を入れていなかったことにある。

分業体制は、織物の各工程を細分化=単純労働化、

つまり、モノづくりにおける大事な工程というものを単なる「作業」レベルに落としたワケだ。

この分断による結果が、織物の新商品開発を鈍化させた。

&機屋という存在が思考停止の下請けロボになった。

本来、効率化によって生まれた時間を次の戦略に投じるハズが、

もしくはネクスト人材への投資のハズが、

ただただ楽をすることに置き換わった。

この事実を受け入れることなく、景気が悪いとばかり嘆く職人が大多数をしめる。

頭を使わなくなる下請け状態は、思考を停止することになる。

それがスポットではなく、産地の大多数をしめるから、

歯車が噛み合わない状態が続き、今の悲惨な現状に至る。

「次世代型」職人として

次世代型職人SHOCKMANロゴ

こんなんじゃダメだろ!

散々ダメにした産地のツケは僕ら世代にのしかかってくるのだ。

かといって、ただ責めているだけでは何も変わらない。

今からでもできることを一つずつやっていくしかないし、根本の問題に直面していかなくてはならない。

そういう思いから、僕は軽蔑を込めて「次世代型」職人を目指すと言う。

「新しい」は工程にある!

具体的には、分業制の悪い考えを取っ払うことにある。

カンタンに言えば、できる限り全てやる!

僕の場合、整経・紋彫り・タテ繋ぎ・織り、織りに関しては全部やる。

加えて、修理・カスタム等都度、覚えながらやれることを増やしている。

結局のところ、自分ができることしか人に教えることはできない。

各専門職人が高齢化でいなくなっている今が覚えるラストチャンスだ。

人材育成を念頭に考えれば、自分の守備範囲を広げておくことは必須

大事なのは作るスキルだけではなくて、売り込み方のスキルもだ。

このテキスタイルのどこに価値を見出すか、

お客さんに全て任せるのではなくて、こっちがハンドリングして一緒に作ろうというスタンスが大事だと思う。

従来の職人の売り方を見ていると、お客さん本意になりすぎて価値の提案すらできていない。

それでは良いように使われるだけのスポットになるだけだ。

モノだけではなく提案する僕ら職人にこそ価値があるから、面白いプロダクトが出来上がると信じている。

昔の職人さんというのは、なんでもやっていた。なんでも挑戦していた。

80年代〜90年代初頭、デザイナーの挑発は大いにあったんだと思う。

だからこそ、新しいモノが次々生まれたんだ。

今までにない「新しい」は、モノづくり工程の中に潜んでいる。

だからこそ、分断した工程を取り戻し、その中に挑戦していかなくてはならないのだ。

テキスタイルデザイナーぶち抜き

もちろん、なんでもやるというのは挑戦の連続なので大変!

苦労をどんどん増やしていってる感じはある。笑

それでも、「次世代型」を目指す価値があると思うから僕は迷わずGOしている。

今までにない新しいテキスタイルで度肝抜くこともできる。

糸1本から自分の狙った表現(デザイン)が創り出せる。

はっきし言って、テキスタイルデザイナーなんかぶち抜き

自分で1から創るから負けるワケがないし、負けちゃダメなのさ。(誰も競争してないけど・・)

とはいえ

現状、テキスタイルデザイナーは目指したいけど、職人は違うと思っている人が多い。

それは産地の中にも蔓延していて、職人はただの単純労働者扱いとなっている。

僕が産地に入った当初は、「なんでデザイナーじゃなくて職人やってんの?」ということを良く言われた。

このガッカリ現状をなんとか変えたいなぁと思う。

テキスタイルにおける次世代型職人というのは、魅力に満ち溢れている!

そうありありと見せつけるためには、僕自身が目立っていくしか道はない。

そう信じて、地道にモノづくりのスキルを磨いているワケだ。

これから単独営業活動もしていこうと思っているので、少しずつ表に出ていくと思います。

営業マン上がり職人の本領発揮です。

これぞ次世代型職人、SHOCKMAN、よろしくどうぞ!

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