こんにちは、京都北部で織物やってます「創作工房糸あそび」です。
小ロット特化型の機屋として、シルクを中心に様々な糸を使ってテキスタイルを創っています。
大きな差別化ポイントとして、手染めによる絣があります。
今回はお客さんからオーダーがあったので、タテ糸になるシルクリボン(4mmの織られたテープ)を染める工程をご紹介していきます。
希望カラーがかなり淡いので、どうなることか。。。
絣の色出し
まずは染料をちょこんと水に溶いて、配合の感じををみます。
「ダークピンクだったら、こんぐらいブラック入れたらこの色になるなぁ」みたいな。
ここはあくまで”アタリをつけている”だけなので、この後染料を溶いて熱していきます。
そこに糸を浸けて乾かして色をみていく。
それからオーダーカラーと見比べて、さらに修正。
大体合ったので先方に送って確認をとる。
あわ〜い!ので、本番はえらく苦労しそうだが。笑
でも、このお客さんはステキなモノを作るので、なるべく希望に答えたいところ!
情熱あるモノづくりのFLOWは、連鎖によって加速するのだ。
本番染め
汚染か!?
ぐらいにしないと狙いの色が出ないので難儀する。
薄めてスプーン1杯入れて調整するシビアな戦いだ。
僕のやっている絣染めでは”染料を計る”ということはしません。
漬けたらその分染料も薄くなるので、どれだけ精密に計ったところで意味を成さないのです。
”目検”と経験値を元に、糸きれを染めて濃度を確認して行きます。
今回は淡い色なだけに、濃くなってしまったらアウト。
慎重に色をチェックしつつ、スピーディに作業をこなしていきます。
こんな感じ。
(染め方に感じては以前に書いたこちらを参照ください。)
「う〜ん、うすいっ!」
ちゃんと染まっているのか不安で仕方ありません。。
最終染めた色がわかるのは、このあとfix剤に浸けて完全乾燥させた後です。
なので、経験の積み重ねがとても重要なんです。
次はピンクです。
こちらも淡いので、慎重に進めます。
お客さんの希望に合うように、何度も色を見て濃度調整。
ゼツミョーなところで戦っています。
ピンクの次は、「ダークピンク」です。
ピンクと差をつけるために、ちょっと濃くしてブラックを少々。
ここの加減で色を作っていきます。
キレイな色が出てるぞ〜。(自画自賛)
淡くて渋い色味は、藤の花のようで美しく感じますね。
漬け絣の味わい
漬け染めの場合、どうしても下の温度の高い方が染料も入りやすいので”ムラ”ができます。
特に淡い色だとそれも良く見えますね。
これが手染めならではの味で、織った時の色の奥行きに繋がってくると僕は感じています。
それから際のボケ具合。
これも括り絣にはない色のぼやけが、織った時の色の多様性に繋がります。
結構な手間がかかるんですが、他にはないここだけの良さがいいんですよねぇ。
絣染め完成
3色染め終わりましたっ!
ふぅ〜、となるんですがこっからも大変。
まず、fix剤に漬けて色落ち防止をします。
そこから洗い作業です。これが地味でキツい!
今回は淡い色なので染料が落ちることも少ないと思いますが2回水に通して洗います。
中腰体勢でやるので、足腰ガッチガチや〜。
洗い終わったら脱水をかけて竿にかけて乾かします。
「何度見てもいい色だぁ。」
(自分で染めると特にそうなります。笑)
この後乾いた後の工程はアイロンがけになります。
ええ、糸1本1本アイロンを通していく作業になります。(ここも非常に大事な工程の一つ)
ここで乾燥させた時の色が最終の色となるのです。
そこを見越して色を調整をしているので、どう染まったかは最後のお楽しみになってしまいます。
最後に
今回の染めは淡い分難易度も高かったっす!
最後まで、ちゃんと染まってるのか不安でした。
そんぐらいに、染料薄い中で染めていたんですよね。
こんだけ淡い色合い染めたのも初だったので、僕の経験値がまた一つ増えました。
こういう地道な経験と作業の繰り返しで、染め精度もパワーアップしています。
次はヨコ糸90カセ染めなくてはなので、まだまだ頑張りますよ〜!