「タテに糸を縮ませたい!」
せっかく整経をやっているので、新たな挑戦をしようと思い立った。
以前、タック織りには挑戦したんですが、上手くいかず。。
今回は、縮まるタテ&二重ビーム(タテ糸の巻きが2つあるということ)を使用して、ミッションコンプリートを狙う作戦だ!
綿に追撚かけたタテバージョン
タテ糸を縮めるにはどうしたらいいか、、、とりあえず綿に追撚かけてみますか。。
合撚機を使って、1000/m近く撚りを入れていく。
このままだと撚り戻りで繋ぐのがしんどいので、真空スチームセットを入れてカチッと止めた。
この時はまだ工場に合撚機がなかったので、京丹後にある織物機械金属センター(通称オリキンセンター)に行っていた。
タテ糸を織機にかけて、織り前まで引っ張りました。
スチームセットをかけておいたおかげで、難なく繋ぐことができたっ!
古き良くない紋紙データ
紋紙→FD(フロッピーディスク)→USB・SDカード、
織物のデータも進化しています。
が、未だ紋紙・FDを使っているところは結構多く残っています。
数万で読み込み装置が買えるわけではないので。。
当工場も例外なく全部持っているので、それに合わせて対応していかないといけません!
FDはすぐ壊れるので、しょっちゅうデータ修正してますし、価値が上がって買うと高いぃ。。
今回かけている織機は、残念ながら紋紙タイプです。
(ジャカードをドビーに変更している機屋あるある仕様です。)
4枚枠の簡単な組織なんですが、紋紙屋さんにお願いして作ってもらいました。
なので、紋紙ツルツル、ほとんど情報はないのです。
一部、後から修正したので、ガムテープで穴を塞ぎました。笑
ここまで準備できたら、ようやく織り出しです〜!
こんな組織です。一見、ただのボーダー柄ですね。
加工して、思ったテクスチャーを出せるのか!!?
サンプル分なので、寸胴に洗剤入れて自分で加工します。
さあ、どうだ〜!!?
変化せず!!
上手くいかなかったー。
ただのボーダーになってしまいました。
タテ糸が全然縮んでいません。もっとギュインギュインに撚り入らないと縮まないかぁ。
ダメでした!、で終わる僕ではないので、次を考えます。
新作を創るっていうのは、修正、修正、修正、その先にあるもんです。
よく縮むウールのタテバージョン
だったら、次はウールをかけてみよう!と繊維チェンジ。
糸屋さんに良く縮むウールをお願いして、再チャレンジです!
タテを整経して、織機にかけて織り出します。同じ工程なのでカット。
文章では一行ですけど、実際は結構な時間がかかってますから〜。涙
もう一度、セルフ加工をして、狙い通りの縮みを願う。
さあ、今度こそどうだ〜!!?
ボーダー!!
綿とは違って、すこーし表情が変わりました。
ただ、こんなヨコサッカーみたいな生地が作りたいわけではないのです。
ここまでくれば、もうできるまでやるっきゃない!!
次なる作戦を練ります。
禁断のちりめん糸タテバージョン
次なるは、丹後産地が得意とするちりめんに用いる、シルクの強撚糸だ!
通常、ヨコ糸に使ってシボ感ある表情を出すものを「ちりめん」と呼びます。
が、今回はそれをタテに使ってやろう!という作戦です。
ちりめん機屋さんに少し糸を分けてもらい、整経に入ります。
こんなにギュインしていたら、流石に縮むでしょうという期待感すごいっす。
ただ、整経難易度も高い!
普通にやっては、糸が絡んで絡んでしんどいので、常にテンションかかるよう調整をします。
シルクに強撚をかけることは理に適っていて、「セリシン」と呼ばれるタンパク質があるおかげでカチッと止まっているんです。
最初綿にスチームセットを入れて止めましたけど、そんなことする必要がないんです。
結構な撚りを入れても、他の繊維に比べてまだ暴れにくいので助かります。
なので、織機にかけて繋ぐときも、思ったほど苦労せず引っ張れました!グッド!
さあさあ、今度こそ〜!
流石に、あれだけギュインなって入れば、縮むこと間違いない。
狙った表情が出るかどうかです!
キターーー!!!
やっとこさ、3度目の正直で狙った縮み出せました!
これこれ、これが出したかった。
いや〜、こんなかかるとは思わなかった。汗
強撚糸独特のシボ感(細かい凹凸)も出て、ドライでなかなかいい感じです。
SHOCKMAN!ポイント
今回は、タテ糸を縮ませたテキスタイルを創るというチャレンジでした。
最終的に、シルクの強撚糸を用いることで実現できました!
サンプルとして始めたので、シンプルな組織で作りましたが、これを応用して色々面白いテクスチャー表現が可能になりそうです!
・変則的ピッチにしてみる。
・ジャカード乗った織機にかけて、部分的にタテに縮ませる。
一つできるところまで行き着けば、そこから広げて展開できるのだ!
そう思えるのも、現場で!自分で!創っているという強みだと思っています。
サンプル創って、ダメで修正してまた創る。
ここのレスポンスが、最前線モノづくりをする上で非常に大事なポイントだと考えています。
だから僕は、デザイナーや企画ではなく、職人の道を選びました。
だから僕は、分業という考え方を捨てた職人を目指そうと決めました。
何でもやるんです。
好きなことだけではなく、やれる限りやってやる!
次世代型職人:SHOCKMANになるために。